第10話 鮭のおにぎり

夢の中は、京都の六月だった。

桐島冴月はアパートの食卓に座り、目の前に就職説明会の資料を広げていた。

スマホの画面は明るく、時刻は午前一時十二分。

瀬川律はまだ帰ってこない。

自分が何を待っているのか、うまく言えなかった。

ただ、眠らずにいた。

彼を待つ理由は、終電を待つのと少し似ている。別に大した意味なんてない。ただ、来るものを待っているだけだ。

律がドアを開けて入ってきたとき、手にはコンビニの袋がぶら下がっていた。

冷えた緑茶が二本、ウェットティッシュが一袋、おにぎりが三つ。

彼女を見た彼の第一声は、これだった。

「まだ寝てなかったのか。明日、説明会じゃなかった?」

冴月は答...

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