第14話 空腹の酒

一面を飾っていたのは、セドリック公爵による焚書の版画だった。

冴月の顔は、わざと醜く歪められた鉤鼻に描かれ、その横には「策謀に長けた毒婦、聖典を冒涜す」という文字まで添えられている。

冴月は無表情のまま新聞を閉じ、食堂の長テーブルのいちばん端へと置いた。そして視線を落とし、釘すら打てそうなほど硬い黒パンを、静かに切り分ける。

世界が変わっても、いじめのやり口は大して変わらない。

デマを流され、仲間外れにされ、力仕事を押しつけられる。

前世ではオフィスのコーヒーメーカーの前で起きていたことが、今は古びた木箱や寮の廊下に姿を変えただけだ。

食堂の隅は妙に静かだった。

ドロシアとヴィヴ...

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