第15話 アシュトンの試金石
フェリクス・アシュトンは、食堂の入口で冴月を呼び止めた。
「君がイザベラ・フォン・アルドレ? 急に声をかけて悪いんだけど――僕はフェリクス・アシュトン。公爵の友人だ。きっと、君は僕のことなんて覚えてないよね」
金髪の青年は、新しいおもちゃを見つけた猟犬のような笑みを浮かべていた。
冴月は、実際のところ彼を覚えていなかった。原作でのフェリクスは、三流の取り巻きにすぎず、セドリックの背後で「貴公子らしい空気」を演出する役目しか与えられていなかったからだ。
「アシュトン様」
「フェリクスでいいよ」
彼は、いかにも人懐こい調子で冴月の歩幅に合わせてくる。
「秋の夜会で君はずいぶん目立って...
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チャプター
1. 第1話 墨の乾く前に
2. 第2話 秋宴の客
3. 第3話 踊りのあとで
4. 第4話 薔薇迷宮の夜
5. 第5話 運命の系統
6. 第6話 焚書の公爵
7. 第7話 縫い目の温度
8. 第8話 九つの金貨
9. 第9話 屋根裏の冬
10. 第10話 鮭のおにぎり
11. 第11話 胸針の罪
12. 第12話 社交死刑
13. 第13話 割席
14. 第14話 空腹の酒
15. 第15話 アシュトンの試金石
16. 第16話 介抱の代償
17. 第17話 朝靄の中で
18. 第18話 拒絶の理由
19. 第19話 賭け
20. 第20話 第八十七点
21. 第21話 傍観者
22. 第22話 三倍返し
23. 第23話 瓦礫の挨拶
24. 第24話 雨の暗道
25. 第25話 傘の下
26. 第26話 芝生の向こう
27. 第27話 金獅子の夜
28. 第28話 禁じられた部屋
29. 第29話 判決文
30. 第30話 薔薇糖
31. 第31話 演技の代償
32. 第32話 唇の嘘
33. 第33話 暗号
34. 第34話 医館に行かないと治っちゃう
35. 第35話 同好
36. 第36話 寝言
37. 第37話 飛雁湖
38. 第38話 五ミリ
39. 第39話 嘘
40. 第40話 壮工
41. 第41話 誓い
42. 第42話 誤解
43. 第43話 知らない人
44. 第44話 信じる
45. 第45話 跪いて
46. 第46話 スリッパ
47. 第47話 偽物の高定
48. 第48話 大切な人
49. 第49話 演技
50. 第50話 寝不足
51. 第51話 魔女
52. 第52話 童謡
53. 第53話 来訪者
54. 第54話 抵抗
55. 第55話 代償
56. 第56話 手を洗った
57. 第57話 悪人
58. 第58話 白
59. 第59話 駅前
60. 第60話 忘れられない
61. 第61話 加害者
62. 第62話 本金
63. 第63話 三人
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