第21話 傍観者

大講堂では、講師が三度目の「イザベラ・フォン・アルドレ」を読み上げても、返事はなかった。ざわめきは次第に広がり、まるで鍋の湯がふつふつと煮立つみたいに、あちこちで囁きが弾けていく。

「本番で逃げたんじゃないの」

「だって招待状だって拾いものなんでしょ。実力なんてあるわけないじゃない」

ヴィヴィアンは頬杖をついたまま、低すぎず高すぎもしない声で言った。

「私とドロシアが部屋を出る時には、もう起きていたわ。来ていないはずはないと思うけれど」

そこで一拍置き、その声音にだけ、ごくかすかな含みが混じる。

「どこへ行ったのかまでは、知らないけれど」

講師は眉をひそめ、教室全体を見回した。

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