第22話 三倍返し

月曜の朝、期末学術弁論の結果発表の日。

大講義ホールは、いつも以上の熱気に包まれていた。後方の扉ぎりぎりまで人が詰めかけ、四百人を超える評価順位の掲示をひと目見ようと、普段は講義をさぼりがちな貴公子たちまで姿を見せている。彼らは窓際に気だるげにもたれながらも、その視線だけは、まるで吸い寄せられるようにある一人へと向いていた。

イザベラ――いや、その中身である冴月は、三列目の通路側に腰を下ろし、うつむいたまま、しわくちゃの紙片に炭筆を走らせていた。

「ただでとは言わないわ。現実に戻ったら、三倍にして返す」

書き終えると、四つに折って前の席へと回す。

五分後、紙片は同じルートをたどって...

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