第25話 傘の下

セドリックは三度目に、足元に倒れている男を見下ろした。

「こいつ、もう死にそうに見えるな」

イザベラは動かなかった。

傘の上を叩く雨は、そのまま二人のあいだに細かな水の帳を作っている。地面に転がったならず者は、海老のように体を丸め、呼吸はほとんど聞こえないほど浅かった。

「城衛隊を呼ぼうか」

「いいえ。正当防衛を少し超えてしまったから、届け出たら面倒になるわ」

「でも、先にあいつが訴えたら、君のほうが不利だろう」

「強盗の罪のほうが重いもの。あの人にそんな度胸はないわ」

十秒ほどの沈黙が落ちた。

セドリックの視線は地面の男から離れ、いったん彼女の横顔に触れ、すぐにまた逸れていく。...

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