第28話 禁じられた部屋

週末の金獅子亭は、人が多すぎて、息をするだけでも誰かにぶつかりそうだった。

冴月は裏口からするりと入り、更衣室へ向かうと、学院の古いスカートを木製ロッカーの三段目にきちんとたたんでしまい込んだ。

四日間のアルバイトで貯めた賃金は、あの古書店で見つけた中古の稀覯本を買うには、まだ頭金にも足りない程度だ。

鏡に映った顔は、相変わらず二十歳のイザベラのものだった。

けれど目の下には青黒い隈がうっすらと浮かび、その疲れた顔つきは、かつて徹夜で案件処理に追われていた頃の自分と、あまりにもよく似ていた。

今朝、ドロシアたちの一団が階段の踊り場を塞ぎ、ひそひそと噂していたことを、冴月は思い出す。

...

ログインして続きを読む