第29話 判決文

イザベラはトレーの表側を、そのままレジナルド・トランの手入れされすぎた顔面に叩きつけた。

ついさっき片づけた宴席の油汚れが、まだ底にうっすら残っていた。せめてもうひと手間かけてやればよかったと悔しがる暇さえない。

個室にいた十人あまりの坊ちゃん連中が、同時に短く息をのんだ。

レジナルドはその場で硬直していた。分声器を握ったままの、肉厚な指だけが妙に目につく。

顔には、丸いトレーの跡がくっきりと残っていた。まるで肌色の印章を、たった今押されたみたいだった。

「おまえ、終わったな」

誰かが横でぼそりとつぶやく。

イザベラはトレーをひっくり返し、今度は静かにサービス台へ戻した。

レジ...

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