第34話 医館に行かないと治っちゃう

庇のランプが、暗い通路の中で三度、明滅した。

イザベラは石壁にもたれ、分岐路の先から第一陣の足音が引き返していくのを、息を潜めて聞いていた。重く、一定のリズムで響くその足音は、靴のかかとが砕けた小石を踏みしめるたび、まるで鈍い刃を石畳に引きずるような、不快なざらつきを残していく。

ほとんど間を置かず、第二陣の足音がその後を追い、同じように角を曲がって暗道へ入ってきた。

イザベラは袖口をきゅっと握りしめ、向かいにいる男へ小さく目配せする。

ならず者は腫れ上がった半分の頬を押さえたまま、百三回目とでも言いたげな顔で確認した。

「本当に、ただの芝居なんだろうな?」

「芝居じゃないなら、...

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