第35話 同好

深夜の王立病院の廊下は、まるで略奪されたあとの展示館みたいに、がらんとしていた。

冴月は薬受け取り窓口から戻ってきて、手の中には小さな鎮痛薬の包みを握っている。紙包みの中で粉末がさらさらと揺れ、かすかな音を立てた。

セドリックは、まだ待合室の長椅子に座っていた。背筋はきっちりと伸び、黒いウールのコートの襟元は一番上のボタンまで留められている。さっきまでのあの騒ぎなど、最初から存在しなかったかのような静けさだった。

冴月は彼の前まで歩み寄り、指先で薬包みをひとつ回してみせる。

「取れたわ」

彼はちらりと彼女を見上げ、立ち上がると同時に、手の中の礼帽をゆっくりひと回しした。

「学院まで...

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