第43話 知らない人

二時間前の時点で、個室はすでに別の客に押さえられていたらしい。

その知らせを持ってきたのは、店の責任者らしい立場の男性だった。口調には三分ほどの申し訳なさと、残る七分の「私にもどうしようもありません」という諦めがにじんでいて、しかも視線は落ち着かず、誰の顔もまともに見ようとしない。冴月はそんな彼を一瞥したあと、ついでにホール全体にも目をやった。天井のシャンデリアはくすんだ金色の光を落とし、テーブル同士の間はきれいに刈り込まれた柊の仕切りで区切られているものの、防音性に関してはほとんど期待できない。

内心で、このマナーハウス風レストランの内装にぎりぎり及第点をつけてから、彼女は誰よりも先に中...

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