第46話 スリッパ

冴月が二階へ上がってから、まだ十分も経っていなかった。

外出用のコルセットベルトをほどき、椅子の背にかけたところで、システムの通知がふわりと浮かび上がる。金色の文字が、静かに空気の中に吊られていた。

【三分以内に一階ホールへ向かってください】

冴月はその一文を五秒ほど見つめ、それから無言でベルトを締め直した。

ホールには、すでに何人もの人が集まっていた。

エレナとルイーザは並んでメインソファに腰掛け、どちらもトランクを持っている。しかもルイーザに至っては二つもある。瀬川律はその斜め後ろに立ち、退屈しているのか、それとも警戒しているのか判別しづらい顔をしていた。一号、二号、三号は暖炉...

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