第48話 大切な人

物置には壁灯がひとつしかなく、その芯はもう燃え尽きかけていた。

橙色の頼りない光が、積み上げられたほうきやモップの柄を斜めに照らし、その場にいる二人の人間まで、まるで倉庫の隅に押し込まれた余り物のように見せていた。

桐島冴月は扉にもたれたまましゃがみ込み、いつも持ち歩いている推演用の小冊子を取り出すと、炭筆でページの端にひとつ、ばつ印をつけた。

原作では、この章ははっきりそう書かれている。イザベラは結局ひとつもカップを見つけられず、そのうえ広間の入口に立たされて、二十分ものあいだ冷たい風にさらされることになる。

冴月は今、カップなんて探したくなかったし、寒風に吹かれるつもりもさらさら...

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