第57話 悪人

ストーリー進行を告げるあの提示音が消えてから、三秒ほど。

冴月は、まだその場から動かなかった。

律はベッドの柱にもたれたまま、気だるげな視線を彼女の顔に落とす。

「何。まだ終わってないの?」

「終わったわ」

冴月はナイトローブの襟元を整えながら、淡々と答えた。

「ただ、次の流れを考えてただけ」

「次って?」

彼女は顔を上げ、ゆっくりと笑う。

その笑みを見た瞬間、律はわずかに身を引いた。

「その顔、ちょっと怖いんだけど」

冴月は説明しなかった。

ただ頭の中で、原作後半の重要な展開をひとつずつなぞっていく。

紋章デザインコンテスト。

地方の中継宿。

部屋いっぱいの器...

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