第61話 加害者

宿場の辻は、風が強かった。

冴月は石畳の上に立ったまま、ふと視線を落として自分の裾を見た。濡れている。

さっきセドリックが差し出してきた水袋を、彼がうまく持てずにこぼしたのだ。飛び散った水は、ちょうど彼女の足もとにかかった。冴月が顔を上げると、彼は水袋の口をつまんだまま、どこか気まずそうな顔でこちらを見ていた。

「何見てるの」

彼女はすぐに視線を外し、冷えた声で言った。

「こんな小さなこともちゃんとできないで、私に褒めてもらえるとでも思ったの?」

言ってから、冴月自身もほんのわずかに間を置いた。

実際、機嫌はよくなかった。屋敷を出てから今まで、システムは静かでも、シナリオのほう...

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