第63話 三人

行きよりも、帰り道のほうが倍近く長く感じられた。

距離のせいではない。今日は街中の人間が申し合わせたみたいに外へ出ていたのだ。セドリックの馬車は、背の高い馬に艶やかな車体と、ひと目で貴族のものとわかる立派な造りをしていたけれど、混み合う大通りではまるで役に立たず、行き場を失った大きな象みたいに、前を行く青物売りの荷車のあとをのろのろと追うしかなかった。

冴月は窓にもたれ、いっそ途中で降りて歩いたほうが早いのではないかと真剣に計算していた。もっとも、その行動が「ヒロイン候補に対する男主人公の好感度」に影響するのかどうかも、ついでに考えてしまうあたり、自分でもだいぶ毒されていると思う。

シ...

ログインして続きを読む