第7話 縫い目の温度

侍従たちが拾い集める手つきは、何かしらの汚染源を清めるみたいに早かった。冴月は床に座ったまま、『帝国紋章学考』が拾い上げられ、侍従の懐に押し込まれるのを眺めた。動かなかった。言葉もなかった。

火は、古文書閲覧室の東側の小さな中庭で焚かれた。

彼女は高い窓の内側から見た。黄赤い炎が頁の端を舐め、最初は焦げた一角、それから丸まる一枚。見えざる手に握り潰されるみたいに。

革の燃える匂いと、古い紙の焦げ苦い匂いが混じり合い、古の呪術が空気の中で揮発するようだった。炎が頁を喰らう音は細かくて、無数の虫が同時に踏み潰されるみたいだった。

冴月は窓の下に立ったまま、冷たい硝子に鼻先を押し付け、最後の...

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