第8話 九つの金貨

金貨が掌に落ちた時、冴月は五、六枚だと思っていた。

目を落とすと、九枚。

九枚の金貨は、薔薇迷宮の石のベンチの上で短い弧を描いていた。金貨の端から漏れる微光が、彼女の指関節を青く照らしている。

律はベンチの反対側に腰を下ろし、指で金貨を一枚ずつこちらへ滑らせる。そのたびに数を読み上げた。

「今日の衣服の貸出しに対する減価償却。お前が俺に蒙を被せた件への慰謝料。スカートの裂け目の布地代」

言い方は自然そのもので、九枚の金貨にはそれぞれ、対応する名目前払い済みみたいだった。

冴月は動かなかった。彼が最後の一枚を弧の端へ押し込み終えるのを見届けてから、顔を上げた。

「私があなたに蒙を被...

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