第73章

母の死因を調査し、相沢怜に事の経緯を洗いざらい白状させ、できればその代償を支払わせるためには、十分な時間が必要だ。

しかし、彼女はなぜ五年前の偽装妊娠事件を持ち出してきたのか。一体何を企んでいるのだろう?

特に、当時相沢怜は海外にいたはずなのに、どうしてその真相を知り得たのか?

たとえ彼女が直接関わっていなくとも、この一件を仕組んだ人物と浅からぬ関係にあることは間違いない。

「ありがとう」

私は淡々と応えたが、その感謝は心からのものだった。

利益交換であろうと、私への好意であろうと、この恩はいつか必ず返さなければならない。

病室に戻ろうとすると、神崎玲也に呼び止められた。彼の眼差...

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