第百二十六章

梨乃の言葉に、初音はきょとんとした。

「角本祥治に何の用?」

梨乃は誤魔化すように笑う。

「大したことじゃないの。ちょっと個人的に話したいことがあってね。アポだけ取ってくれたら、あとは気にしなくていいから」

初音は彼女をちらりと見た。少し不思議に思ったが、それ以上は追及しなかった。

梨乃という人は、普段こそ大雑把だが、肝心なことでは絶対に手を抜かない。

彼女が言わないということは、言えない事情があるのだろう。

初音は頷いた。

「分かった。後で声かけてみる」

翌朝早くから、初音は荷造りを始めた。

梨乃の家に居候して半年余り。いつの間にか荷物は増え、服だけでも段ボール三、四箱...

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