第18章

初音は壁にもたれかかり、スマートフォンを握りしめたまま、外の沈みゆく夜の闇を見つめていた。

さっきはあんなにきっぱりと言い切った。決心だって、何度も何度も固めたはずだ。

けれど、寧々は自分の娘だ。お腹を痛めて産み、この六年間、すべての愛情を注いで大切に育ててきた宝物。そう簡単に割り切れるわけがない。

和也への愛を断ち切り、この最悪な結婚生活から未練なく抜け出すことはできる。でも、娘だけは……。

壁に寄りかかり、目を閉じて、頭の中のぐちゃぐちゃな感情をどうにか押し込めようとする。だが、娘という見えない糸が常に彼女をきつく縛り、時折、胸が張り裂けそうなほど強く引っ張られるのだ。

研究室...

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