第27章

研究室に着いたのは、まだ九時前だった。

白衣に着替え、初音がコア実験エリアへ足を踏み入れると、すでに数人の研究員が到着し、それぞれの作業に追われていた。

「おはようございます、弓月さん」

顔を上げた花子が挨拶をし、すぐに言いにくそうに部屋の隅へ顎をしゃくった。

初音がその視線を追うと、そこには前回トラブルを起こし、初音の手に試薬の火傷を負わせた新人実験員――大輝の姿があった。

彼女は国内トップクラスの名門大学を卒業したばかりの秀才だ。経験こそ浅いが、面接での経歴も悪くなく、何より花子の大学の後輩ということで採用を決めた経緯がある。

その大輝は今、遠心分離機の前でうつむき加減にスマ...

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