第32章

初音の心臓が激しく波打ち、全身の血が頭へ逆流していくのを感じた。

背後にいる男の体はひどく熱く、荒い息遣いが伝わってくる。そのせいで、彼女まで緊張で全身から汗が噴き出していた。

「声を出すな」

初音が悲鳴を上げようとした瞬間、男のほうが先に口を開いた。

彼の声は低く、喉の奥から絞り出したように掠れており、押し殺したような喘ぎが混じっていた。

「助け……てくれ……」

「分かった、声は出さないから、落ち着いて。まずは手を離して」

初音は彼の手の隙間からどうにかその言葉を絞り出した。だが、男は彼女を解放するどころか、さらに強く首を締め上げ、駐車場の奥へと引きずり込んでいく。

男の足...

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