第36章

九条はまた先ほどと同じ奇妙な表情を浮かべ、しばらく沈黙した後、ふっと軽く笑い声を漏らした。

「かねてから噂には聞いていたよ。藤原さんはご自身の奥様をひどく嫌っておいでで、何から何まで見栄えがしないと、とうに離婚したがっているとね」

「だが今、これほどの莫大な利益を差し出してまで彼女を救おうとしている。あの噂はすべてでっち上げだったのかな?」

和也も少しの間沈黙したが、それには答えず、ただ淡々と言い放った。

「受けるのか、受けないのか」

初音はすでに伏し目がちになり、指をきゅっと握りしめ、心臓を早鐘のように打たせていた。

藤原グループの株式の五パーセント。毎年の配当だけでも十億を下...

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