第57章

雪菜の顔に浮かんだ笑みが一瞬引きつったが、すぐに自然な表情を取り繕った。

「そうなんだ。じゃあ約束ね、次は一緒に行こう」

その声は優しかった。

和也が頷くだけで何も言わないのを見て、雪菜はしばらくして帰っていった。一方の寧々は、父親の顔を見上げながら何か考え込んでいるようだった。

夜、和也は書斎で書類に目を通していた。

ドアがそっと押し開かれ、寧々が小さな顔を覗かせた。

「パパ?」

和也は顔を上げ、娘を見た。

「どうした? こんな時間まで起きてて」

寧々は部屋に入ってくると、和也の膝によじ登り、その腕の中にすっぽりと収まった。

「パパ、聞きたいことがあるの」

「なんだ?...

ログインして続きを読む