第60章

和也は真剣に考え込み、わずかに眉をひそめたが、いくら考えても自分の好きなことが思い当たらなかった。

接待の飲み会にはよく顔を出すし、ゴルフもする。スキーにも何度か行ったことがあるが、それらは結局のところ、すべて仕事のためでしかない。

その行為自体に喜びや楽しさを見出したことは一度もなく、すべては取引先を増やし、プロジェクトの利益を少しでも上げるための手段にすぎなかった。

一番の楽しみといえば、相手の手の内を見透かしたときの優越感くらいだろうか。

「好きなこと……仕事くらいしか思い浮かばないな。率直に言えば、金を稼ぐのが好きなんだ」

そう答えるしかなかった。

初音はたまらず吹き出し...

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