第105章 当主の命令

オーロラ・ロスの視点

私は一瞬、呆然としてしまい、自分でも反応が遅れたのが分かった。

手の甲で涙を拭い、ゆっくりと視線を逸らす。

……たぶん、気持ち悪かったんだ。

あれほど期待していた分だけ、いまは同じだけ吐き気がする。

私が「色の宮」にどれほど憧れていたか――それをいちばん知っているのは、アレックス・フィリップだ。

知っているからこそ、彼のいまの態度には、罪悪感が混じっているはずだった。

でなければ、どうして私の気持ちを執拗に確かめる?

……でも。

そんな罪悪感に、何の価値があるの。

私は嘲るように口端を吊り上げた。

「オーロラ! 黙ってないで、何か言え!」

「……...

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