第143章 フィリップ夫人

オーロラ・ロス視点

レオが突き止めた住所を頼りに、私たちはその男の家へ直行した。

案の定、書斎にはバックアップがいくつも隠されていた。

「これで最後」

私はUSBメモリをルーシーの手に載せた。これを壊せば、彼女の過去はようやく完全に葬られる。

けれどルーシーは一瞬ぎゅっと握りしめただけで、なかなか動こうとしなかった。

「どうしたの?」

「……オーロラ。こんな終わり方じゃ、あいつには甘すぎる」

私は一瞬だけ目を瞬かせた。でも驚きはしなかった。ただ静かに尋ねる。

「殺したいの?」

「いいえ」

ルーシーは唇を引き結び、それからきっぱりと顔を上げた。

「警察に通報しましょう。...

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