第150章 もっとおとなしくしていろ

オーロラ・ロス視点

鼻先を満たすのは、獰猛な気配に情欲の匂いが混じった、むせるような空気。

心臓がやたらとうるさい。緊張のせいなのか、それとも恐怖なのか、自分でも分からなかった。

「待って!」

私は慌てて彼の口づけを避け、低く声を絞り出した。

「今、外がどうなってるか分かってるの?」

「銃を持った強盗が、このホテルを占拠してるのよ!」

この男、本当に今の状況がどれだけ危険か分かっているのだろうか。なのに、まだこんな時に抱くことしか考えていないなんて。

私はまるで逃げ道を見つけたみたいに、急いで言葉を重ねた。

「落ち着いて。今いちばん大事なのは、外部と連絡を取ることでしょ」

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