第153章 偶然

三人称視点

819号室。

ケントはすぐにジェイコブから上がってきた調査結果を受け取った。手元の写真に目を落とした瞬間、背中を冷たい汗が伝う。

青々とした草原が麦の波みたいに揺れている。鮮やかな空の下、絵筆を握った少女が、野に起きたささやかな出来事を見つめて、明るく笑っていた。

そして、その視線の先にいる人物は、顔までははっきり写っていない。それでも分かる。

――ルイ・ホワイト。

同じくA市で絶大な権力を握る市長。ホワイト家の若君だ。

どうりで、こちらの監視をすり抜けられたわけだ。

ケントは今にも泣き出しそうな顔になった。

だが、この写真をボスに渡せば、機嫌が悪くなるのは目に...

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