第156章 彼らは行けない

オーロラ・ロス視点

アレックスは一瞬、ぽかんとした。さっきまで何事もなく一緒に食事をしていた相手が、どうして急にこんな態度になったのか、まるで分かっていない顔だった。

眉をひそめ、口を開く。

「どうした?」

その無垢な顔つきが、余計に私を苛立たせる。

私は冷えきった顔のまま、踵を返した。

「待て」

アレックスが手首を掴もうと踏み出してくる。けれど私は身を引いてかわし、うんざりした声で言った。

「フィリップさんって、不倫まがいの真似でもしないと気が済まない趣味でもあるの?」

「一度や二度ならまだしも、毎回こんなやり方ばかり。あなたは平気でも、私は反吐が出る」

目の前の男の眉...

ログインして続きを読む