第159章 彼はセイレーンのようだ

オーロラ・ロス視点

私は呆然と立ち尽くし、自転車の後ろを見た。

たしかに、この自転車は二人乗りできる。できるけど――。

この人、見た目は女の人より綺麗なくらいなのに、本物の女性じゃない。れっきとした男だ。しかも、どう見ても185は超えている。

手足は長いし、体格だってしっかりしている。

この人を後ろに乗せて10分も漕いだら、私の太ももの筋肉が死ぬ。

思わず口元がひくりと引きつった。

一瞬、本気で分からなくなる。30分歩いて帰るのと、この人を乗せて帰るのと、どっちがきついんだろうって。

「どうした? 嫌なのか」

美人が眉を寄せた。

水色の瞳が、すっと私をなぞる。

私は小さ...

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