第38章 彼女は認めない

アレックス・フィリップ視点

眠っているオーロラを見下ろし、俺は静かに休憩室を出た。

喧騒のあと、オフィスはまた無音に戻る。

床いっぱいに散った書類と、隅に投げ飛ばされて割れたコップだけが、さっき何が起きたのかを物語っていた。

唇の端の傷に指を当てる。じくり、と痛む。

だが、こんな痛みは心臓の痛みに比べれば取るに足りない。

彼女がどういう人間かなんて、俺は最初から分かっていた。

それでも――あんな言葉を吐くとは、思わなかった。

言い争いで優位に立つために、十四年の感情そのものを疑うなんて。

胸の奥がまた鋭く刺され、熱くなった目に酸っぱさが滲む。

十四年。

……よくも言えた...

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