第44章 金を工面する

カフェを出たあと、私はそのまま会社には戻らなかった。

フィリップ・グループはA市一の大企業だが、勤怠管理がやたら厳しいわけじゃない。やるべき仕事さえ片づけていれば、残りの時間は各自の裁量に任される。

私たちAチームは6月の新作プレセールを終えたばかりで、以降の対応は販売部門が引き継ぐ段取りだ。せっかく空いた時間を、わざわざ埋める気にもならない。

明日は週末。なら、今日はそのまま帰ろう。

玄関のドアを開けると、リビングでくつろいでいた両親がこちらを見て目を丸くした。

「オーロラ、今日はずいぶん早いのね?」

「うん。区切りのいいところまで終わったから、先に戻ってきた」

「ちょうどよ...

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