第48章 お父さんのようになるな

アレックス・フィリップ POV

「……爺さん」

「まだ俺を爺さんだと分かってるのか」

豪奢な部屋。

目の前の当主エーダーは筆を置き、黄地に金の縁取りが施された宣紙を手に取ると、軽く揺らして墨の具合を確かめた。

出来に満足したのか、皺だらけの顔をほころばせ、じっくりと鑑賞している。歳月が刻んだ慈愛めいた柔らかさ。

だが――こちらを射抜く眼だけは、鷹のように鋭いままだ。

「随分と偉くなったもんだな。わざわざ人を遣って呼びつけなきゃ来ない。次は俺が直々に迎えに行けってか?」

俺は視線を落とし、瞳の奥の嘲りを隠す。

「滅相もない」

「あなたの娘が絡んでなければ……とっくにお茶の一...

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