第60章 いつも信じない

オーロラ・ロス視点

反射的に手を引こうとした。けれど次の瞬間、きゅっと握り直される。

ルイを見ると、彼は笑いながら私の手を掴んだまま、優しく――なのに、なぜか逃がさない強さで引き留めた。

耳元で、誰かの息を呑む気配。

視線を移した先のアレックスは、もう完全に冷え切っていた。

侵された縄張りに踏み込まれた雄獣みたいに、全身から殺気が滲み出ている。

たとえ私がただの愛人でも、彼にとって私は彼の所有物。

その「所有物」が、目の前で別の男とこんなに近い距離にいれば――怒らないはずがない。

アレックスは部下を従え、大股でこちらへ向かってくる。

しかも、彼の手が後ろ腰に伸びるのが見えた...

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