第68章 もう聞かない

オーロラ・ロス視点

彼は両手を私の脇につき、そのまま身体を預けるように覆いかぶさってきた。距離が、近い。

次の瞬間、まるで張りつめていた力が一気に抜けたみたいに、彼は額を私の肩へそっと押し当てた。

怒りもない。嘲りもない。いつもの冷えきった無関心ささえ、そこにはなかった。

まるで七年前に戻ったみたいだった。まだ言い争いもなく、ただずっと隣で支え合っていた頃に。

彼の小指が、私の小指にかすかに絡む。

低い声が、耳元に落ちた。

「昔、お前が俺に何を約束したか……覚えてるか?」

もし、いつか私たちが喧嘩をしても。

意地を張って、素直に仲直りできなくなっても。

そんな時は、そっと...

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