第79章 盗んだ時間

オーロラ・ロス視点

睨みつけると、彼は口元だけで笑った。長い腕が伸び、ベッドサイドのテーブルから水の入ったグラスを取って、私の唇へ当てる。そのまま飲まされる。

「まだ飲むか?」

疑って見上げる私に、彼は淡々と言った。

「飲まないのか?」

「それとも――別のことをしてほしい?」

「飲む!」

彼は立ち上がってベッドを降り、水を注ぎに行った。

なみなみと満たされたグラスを私の手に押し込んでから、またベッドヘッドにもたれ、私を腕の中へ引き寄せる。

背中越しに伝わる胸の熱。呼吸のたび、風呂上がりの香りが鼻をくすぐった。

まるで大きなぬいぐるみでも抱くみたいに、彼は私を囲い込む。自然...

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