第8章 1000万の値を付けた大物

オーロラ・ロス 視点

私の絵が掲げられた瞬間、階下のホールから、どっと褒めそやす声が上がった。

――よかった。

胸の奥で固まっていた息を、そっと吐き出す。少なくとも、ひどい出来ではない。

赤いベルベットのイーゼルに飾られた『海岸』は、記憶の中にあるそれより、どこか研ぎ澄まされて見えた。繊細で、上品で――少しだけ「よそゆき」だ。

白い砂浜。碧い海。うねる波間で、イルカが高く跳ねる。

見つめていると、意識が勝手に引き戻される。

潮の匂いを含んだ風の中、私はアレックスと並んで歩いた。突然、波が押し寄せてきて、彼は私を腕の中へ引き寄せる。濡れた彼の背中の向こうで、遠くの海面が弾けるよう...

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