第81章 意地の悪い客

オーロラ・ロス の視点

車がしばらく走ってから、私はふと振り返った。

彼はまだ、あの場所に立ったまま動いていない。こちらを射抜くように、視線だけを真っすぐ寄こしている。

――次の瞬間。

まるで私が振り返るのを知っていたみたいに、ワンウェイミラー越しに、ぴたりと目が合った。

そして唇の端を吊り上げる。

『ほらな。お前は俺を捨てきれない』

そんな得意げな顔。

直後、スマホが震えた。

届いたのは、短い一文。

――いい子にしてろ。

……強引な男。

胸の奥で悪態をつき、私は視線を引きはがして前を向いた。

本当は数日だけ休みを取るつもりだったのに、想定外のトラブルでC市に足止め...

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