第9章 アレックスの女伴

オーロラ・ロス 視点

「1000万、3回!」

「落札!」

司会者が槌を打ち、最終価格を確定させた。

私は肺の奥に溜めていた息を、ようやく吐き出す。力が抜けて、椅子に沈み込んだ。

暴れるみたいに跳ねていた心臓が、全然おさまらない。

……死ぬかと思った。

本気で、隣の個室がこの絵を手放したのかと――。

「オーロラ」

エイミーが勢いよく扉を押し開けて入ってきた。眉を寄せ、心配そうに私を覗き込む。

「大胆すぎるよ。どうしてあんな煽り方したの? もし誰も追ってこなかったら、どうするつもりだったの」

私は胸の鼓動を隠すように、無理やり口角を上げた。自分だって怖かったなんて、言えるは...

ログインして続きを読む