第93章 命令に背いた

アレックス・フィリップ の視点

「ボス。やはりご推察どおりです。ムーア一族が差し向けた連中は、こちらで炙り出しました。ジェイコブが戻りを待っています」

「……ふん。あのジジイの耳には入ってないな?」

ケントが首を横に振る。

「処理は完璧です。ボスが戻られたことを知っているのは、俺とロス嬢だけです」

「それと――ボス。今夜は危険すぎます。ムーアの残党をまだ狩り切れていない段階で戻るのは、フィリップ老の命令違反です」

「ご存じでしょうが、あの方は逆らう相手を決して許しません。知られれば、必ず面倒を押しつけてきます」

俺はシートに深く身を預け、指先でスマホを弄んだ。

「ケント。いつ...

ログインして続きを読む