第6章

茉奈視点

窓から陽光が溢れかえる。私はソファに座り、テーブルにはデザインスケッチが広げられ、その隣には携帯電話と妊婦用のビタミン剤が置いてある。

ここ二週間は静かだった。羽原直樹は姿を見せない。修正した離婚届は、現在法的な手続きの段階にある。和人からは毎日、体調を気遣うメッセージが届く。時々食事を届けてくれることもあるが、彼は踏み込んではこない。私に息苦しさを感じさせない。

彼がそばにいることに慣れてきた。彼の気持ちに、ではない。ただ、この子の父親としての彼という存在に。

今朝のメッセージがまだ画面に残っている。「朝食、ドアの前に置いといた。ちゃんと食べて。今日は会議があるか...

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