第5章

 クロエは固まった。

「こ……これ、ただのボロい額縁じゃない……?」

「言っただろ。置け」ケイデンは一語一語、噛みしめるように告げた。

 その視線に射抜かれて、クロエの指先が震える。手から滑り落ちた額縁が床に叩きつけられ、ガラスがぱりん、と四方へ散った。

「ごめんなさい……わざとじゃ……」堪えきれない涙が、みるみる溢れ出す。

 砕けた額縁を見下ろした瞬間、ケイデンは胸の奥も一緒に欠けた気がした。

「……もういい」

 踵を返し、歩き出す。

「外で風に当たってくる」

「ケイデン!」背中に、泣き声が追いすがる。

「もう、私と結婚したくないんでしょ!? 前からわかってた! ずっと...

ログインして続きを読む