第6章

ライラの視点

 ケイデンの手が振り払われ、彼はよろめくように数歩下がった。そして、私を抱き寄せた男を睨みつける。

 ルーカス・アッシュフォードが私の背後に立ち、顎を頭頂に軽く預けている。冷たいモミの木みたいな匂いがして、その存在感はケイデンの比じゃない。アルファの圧が、十倍どころじゃなく重くのしかかった。

「君がケイデンか?」

 声は静かなのに、腕はさらに強く私を囲い込む。

 熱い息が耳朶にかかる。反射的に身を引こうとした瞬間、いっそう強く抱き締められた。

「怖がらなくていい」ルーカスの唇が、ほとんど耳に触れそうな距離で囁く。

「俺がいる」

 胸板の温もり。侵略的な匂い。理由...

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