第282章 初歩的な合意に至る

佐々木海子はこくりと頷いた。

「その辺りはすでに準備済みです。原稿は後でもう少し手直しして、明日の正午までにお渡ししますね。ドレスは奥にあるので、一緒に来てください」

言い終えるや否や、彼女はきびきびとした足取りで奥のウォークインクローゼットへと向かった。

その迷いのないすっきりとした後ろ姿を見送りながら、亜田睦美は思わず唖然とした。

あまりにもあっさりしている。

つい先ほどまで、火花を散らして言い争っていたというのに。

睦美も後を追ってクローゼットに足を踏み入れた。

佐々木海子の服は決して多くはないものの、スタイルごとに整然と分類されており、その大半が上質な素材と洗練されたデ...

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