第293章 反対

佐々木海子は一口食べた。

ほんの少し味わうだけのつもりだった。だが、一口食べると箸が止まらなくなり、そのまま頬を膨らませて猛烈な勢いで平らげ始めた。

案外いける。

香ばしく、しっとりとした旨味が口いっぱいに広がる。

大盛りの麺をすっかり平らげると、胃袋が満たされ、沈んでいた気分もいくらか晴れたような気がした。

小崎頌は頬杖をついて彼女を見つめている。その表情には、どこか人を惑わすような妖しさが漂っていた。

まさか彼が作った麺を完食するとは。

もし食べきれずに残すようなら、自分が片付けてやろうとまで考えていたのだが。

上出来だ。随分と顔を立ててくれたじゃないか。

「今日、父の...

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