第308章 特別なドレス

現れたのは、なんと楠本温樹だった。

彼は手に一束の資料を持っている。

「佐々木社長、入社の書類です。目を通していただけますか」

傍らにいた小間千鶴に気づくと、先輩にあたる彼女にも会釈をした。

佐々木海子は少し怪訝に思った。そもそも楠本温樹は朝戸篠のコネで入社したのだから、こういった手続き関係もあちらを通すのが筋だ。わざわざ入社書類を自分のところに持ってくる必要などないはずなのだが。

「そこに置いておいて」

海子はあえて拒むことはしなかった。

楠本温樹は資料を置いたものの、立ち去ろうとはしない。

「佐々木社長、今夜のチャリティーパーティーへの参加を申請したいのですが」

「構わ...

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