第348章 夫を追う

彼は黙ったままだった。

佐々木海子が振り返ると、ちょうど彼の闇のように深い瞳と目が合った。

地下駐車場は薄暗い。彼の輪郭は、濃く粘る夜の色に溶けてしまいそうだった。

視線が絡み合い、海子は落ち着かなくなる。「……どうしたの?」

「おまえ、ほんとに何とも思わねえのか」小崎颂が、唐突にそう言った。

海子は一瞬きょとんとして、ようやく意味を飲み込む。

――だから、何?

「今日は二人とも一日中忙しかったでしょ。帰って休もう。私、明日の仕事の準備もしなきゃだし。……わざわざ掘り返す必要、ないと思う」理性的に言い聞かせる。

みんな大人だ。分かるべきことは、分かっている。

意味のないこと...

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