第350章 幸いあなたがいてくれて

住友直孝は正直なところ、自分の上司である小崎颂という男が、いまひとつ理解できなかった。

あれほど雲の上にいるような人間だ。昔も、今も、これから先も――ずっと高い場所に立ち続けるはずの男。

なのに奥様の前では、ことあるごとに駄々をこねる子どもみたいになる。

子どもが欲しがるのはお菓子や玩具だが、あの男が求めているのは奥様の愛だ。

トマトと卵の麺を一杯食べたあと、小崎颂は奇跡みたいに平常運転へ戻った。

「小崎社長、SNSも更新してましたよ」リビングで林田さやかが言う。

住友直孝は反射的にスマホを開き、小崎颂が上げた写真を見て、また固まった。

……おいおい。

麺の写真が九枚。角度違...

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